ネット界の座敷童を目指します
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ちょっとこの動画を観て欲しい
https://www.youtube.com/watch?v=GZg0CkPTAis 「Taxis in Japan line up in an orderly fashion to pick up passengers」という英題が付されているが、要するに「日本のタクシーは客待ちでさえも規律正しい」ということを言いたいらしい いや、逆なんだよね ここまで規律正しく並ばないと客にありつけないの 日本のタクシーの乗り場って大抵狭い空間なので無秩序に付け待ちしてたら中はたちまち大混乱になる 我々タクシーの給与は基本的に歩合給なのでとにかく客を積めないと話にならないのだが、駅にさえ行ければ確実に客にはありつけるので余計に無秩序になりがち そこで皆の逸る心を抑えるべくこうして規律正しく並ぶ必要が生じるわけ しかし、客にさえありつければ良いのかと言うとこれがまたちと違う 前述の通り、タクシー運転者の給与は基本的に歩合制であり出来高払いではない ここで言う「出来高」とは決して「客を乗せた回数」ではなく、それどころか回数と売上は必ずしも比例しないのが実情である 何をバカなと思われるかも知れぬが、例えばこういうケースだ: 一日の売上ノルマが2万円だったと仮定する この日乗ってくる客の全てが初乗り730円しか乗らなかったとすると、そこに達するまでには少なくとも30回は繰り返し積む必要がある しかし中には一発1万円の超ロング客も少なからずいて、これなら乗せる回数はたった二回で済む タクシーという業務には必ずと言って良いほど「待ち」が発生する それは流し中であったり、この動画のように駅で待ってる場合も含む この最中は当然数字はゼロであるから収入もゼロになるわけで、我々タクシー運転者はこの「待ち」をどういなすかに全てを腐心することになる 逆に言えばこの「待ち」を上手くいなせれば、ノルマ達成はそれほど難しいことではない 簡単である 「常に客にありつける乗り場で待っていれば良い」のだ しかし先にも述べた通り、いくら客にありつけると言ってもその全てが初乗りだったのではそのノルマは甚だ遠いと言わざるを得ない しかも昨今は働き方改革の一環および国交省からの締付け強化で労働時間が厳しく制限されているので、一出番あたりの物理的な乗せれる回数はおのずと制限されてしまう ではどうするか 更に簡単である 「高単価客が見込める乗り場で待っていれば良い」 これなら出番あたりの回数は少なくなるかも知れないが単価が高いのでそれで全く構わない、という状況が必然的に生まれる しかも「待ち」を効果的に吸収も出来るので、初乗り客をシコシコこなしたのと同じ結果が得られる 何度も述べるがタクシー運転者は歩合給である その中身は実はどうでも良く、とにかく数字を揚げさえすればよいのだ そうなると、クソ真面目に流しまくり、大して実入りの見込めない近距離客にペコペコするのがバカらしくなる一方で、どうせ同じ数字ならラクして揚げられたほうが物理的にも肉体的にも、何より精神的にも充分なメリットを享受できるというわけだ むろん、その間には何回かの近距離客にも遭遇することになる 出来れば毎回毎回そこそこの単価客に当たることを我々は欲するため、そのときはどうしても落胆を隠すことはできないし、むしろ敢えて落胆を表に出すことで二度とその客がその乗り場から乗ってこないように仕向けることを「ワザ」として使う者も居る 件の動画はどうやら広島駅のようだが、広島駅といえば新幹線停車駅である 新幹線から降りて来る客は概して大荷物かつ疲弊していて、この先何回かの乗り換えを経てやっと目的地に辿り着くことになるのだが、この乗り換えを嫌って比較的長い距離をタクシーに乗る、という需要が必ず、しかも根強く発生するのである さすがに一回1万円は中々当たらないが、5千円程度の中距離なら真っ昼間でも充分見込めるので、先のノルマが2万円であれば、どんなに待ち時間が長くとも4回乗せればその日の仕事を終えられる タクシー運転手のくせにラクして稼ごうなんざケシカラン、という声が必ず聞こえてくるのだが、そもそもラクして稼ぐのは商売の基本である というかラクしたいから商売するのであって、決して責められるべき話ではない そんなこと言ってたらこの世の商売という商売全てを真っ向から否定することになり、ひいては資本主義への真正面からの挑戦と受け止められかねない 事実、タクシー運転手の歩合給の反映に数字だけが殊更に重視されその中身はてんで見て貰えない現実があるかぎり、これはタクシー業界挙げての暗黙の了解であることはありありと読み取ることが出来る 昨今、タクシーを利用した様々なイノベーションが盛んだが、その負担はどうしたって末端の我々タクシー運転者が負わされることになる その我々が満足できないイノベーションが定着した例は、これまで一度もないのだ 我々の満足するイノベーション、それは「歩合給の完全撤廃」 数字数字に追われてハンドルなんか握りたくないのである 色々危なっかしくなるからねどうしても たったこれだけで、内外問わず多くの人々が目を瞠るような素晴らしいイノベーションが実現されるように思うのだが、皆はどうだろうか PR |
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